最近、米航空宇宙局（NASA）と海洋大気局（NOAA）は、太陽活動が最も活発な「極大期」に入ったと発表しました。この極大期は今後1年間続く可能性があり、低緯度地域でもオーロラが観測される一方で、通信障害などのリスクが懸念されています。
太陽活動の極大期とは？
太陽活動の極大期は、約11年周期で訪れる、太陽の活動が最も活発になる時期です。この期間中、太陽表面での爆発現象である太陽フレアや、コロナ質量放出（CME）が頻繁に発生します。これらの現象は地球にも影響を及ぼし、地磁気の乱れやオーロラの発生が増加することが知られています。
太陽活動の強まりにより、特に極大期中は多くの地域でオーロラの観測チャンスが広がります。
オーロラ観測のチャンス
通常、オーロラは北極や南極に近い高緯度地域でしか見られませんが、太陽活動の極大期には低緯度地域でもオーロラが観測できる可能性があります。
NASAの科学者たちは、今後数カ月間にわたって特に良い天体ショーが期待できると述べています。
過去には日本でも、大規模な太陽フレアが発生した際に、オーロラが観測されたことがあります。今回も、低緯度地域に住む人々にとって、オーロラ観測の貴重な機会が訪れるかもしれません。
通信障害のリスク
一方、太陽活動の活発化はロマンチックなオーロラだけでなく、技術的なリスクも伴います。
太陽フレアやCMEが発生すると、通信衛星やGPS、電力網に影響が及ぶ可能性があります。
これらの現象によって引き起こされる地磁気嵐は、通信システムに障害をもたらし、場合によってはGPSの精度が低下したり、電力網が停止するリスクもあります。
NASAとNOAAは、これらの影響を最小限に抑えるための対策を講じていますが、完全に防ぐことは難しいとされています。
アルテミス計画への影響
NASAが主導する月探査計画「アルテミス計画」も、太陽活動の影響を受ける可能性があります。
特に2025年に予定されている月面着陸ミッションでは、宇宙飛行士が強い宇宙放射線にさらされるため、安全対策が必要となります。
NASAは、太陽活動の状況を慎重に監視しながら、宇宙飛行士の安全を守るための対策を強化しています。
今後の展望
太陽活動の極大期は、科学者にとっても一般の人々にとっても興味深い現象です。
オーロラ観測のチャンスが増える一方で、通信障害や宇宙探査への影響など、多くのリスクも伴います。
NASAとNOAAは、太陽活動を引き続き監視し、地球や宇宙での影響を最小限に抑える努力を続けています。
今後、オーロラの観測や通信障害がどのように影響を与えるか、注意深く見守る必要があるでしょう。
